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罪刑法定主義の基本

罪刑法定主義の基本であり、その意味は罪刑が国会の制定する法律で定められなければならないという原則です。この原則が必要な理由は、すべての国民を代表して組織されている国会によって制定される法律で罪刑が決まり、これが公布されることが、罪刑が民主的に決められ、個人の自由が保障される前提条件となるからです。

明治憲法においても、23条で罪刑法律主義に関する規定は設けられていましたが、議会の閉会中に緊急の必要がある場合、天皇が法律の代わりの勅令を発することが可能であると8条には規定されており、罪刑法律主義の適用されない例外規定も設けられていました。

罪刑法律主義は、罪刑を「法律」という法形式で定めなければならない原則です。つまり、ある一定の行為について処罰するような慣習があり、それが人々の規範意識となっていたとしても、それを適用して処罰することは、「法律」による処罰ではありませんので罪刑法律主義に反することになります。これを「慣習刑法の禁止」といいます。

一般には、慣習法として社会で事実上行われている一定の習慣であり、人々の法的確信、規範意識に定着し、当然のこととして遵守されている場合には、法規範としての拘束力が認められています。しかし、慣習法は民主的手続を経て確定されたものでもなければ、ないようにも明確性がないため、罪刑法定主義の理念と相いれないのです。

但し慣習法がまったく意味を持たないというわけでもありません。例えば慣習を根拠として、犯罪を認めることは罪刑法定主義の理念から認められませんが、逆に慣習を根拠として犯罪を否定することは許されています。お月見泥棒という風習をご存知でしょうか。これは子どもたちが、十五夜に飾られているお月見の御供え物を盗んでもいいという風習です。普通に考えると、他人のものを盗んでいるわけですから、窃盗にあたることになります。しかしこの習慣が地域の人々にとっては法的確信となっている場合、窃盗罪の成立を否定することが許されるのです。なぜならば、慣習を根拠として個人の自由が、制限されるのではなく、拡大されるからです。