サンプル画像

刑法の原則

刑罰が、個人の生命、自由、財産といったものを制約することから、この刑罰権が不当に用いられることは、人権が不当に侵害されるということを意味しています。そのため、刑罰権が不当に行使されるのを防ぐためにさまざまな原則が認められています。

罪刑法定主義というのは、ある行為を犯罪であるとするためには、その行為が行われる前に法律によって、その行為は犯罪であると規定し、それに対する刑罰の種類と刑の重さを規定していなければならないとする原則です。この原則を表す標語が「法律なければ刑罰なし」というものです。ちなみにこの標語は、フォイエルバッハによって作られたものです。

罪刑法定主義の中心は、罪刑法律主義ですが、その他に派生原則として、遡及処罰の禁止、類推処罰の禁止、絶対的不定期刑の禁止、明確性の原則といった原則が認められています。

罪刑法定主義は、イギリスのマグナ・カルタにある「同一身分者の、国土の法による裁判」に保障の淵源があるとされています。そしてこの保障がアメリカ合衆国憲法の事後禁止条項・適正手続条項、フランスの人権宣言の中にある、罪刑法定主義条項として明確化されていったのです。

罪刑法定主義の理論的根拠ですが、刑罰というのは、国民の意思に基づき合法的に科されることが前提となり、そのためにはどのような行為を行うと犯罪とされ、それにはどれくらいの刑罰を加えるのかについて、国民を代表する国会が作る法律で定めなければなりません。同時に、犯罪と刑罰は国民に事前に予告されている必要もあります。その前提が成り立っていないと、国民は自分のおこなった行為が犯罪として処罰の対象となっているのかどうかが分からないため、自由に行動することができなくなり、不意の処罰によって人としての尊厳や自由と生存を不当に侵害されることになってしまうからです。

罪刑法定主義は、2つの問題を抱えています。1つ目が、多数の刑罰規定がもうけられたことによって、専門家でなければどのような着手があるのかを知ることが困難となっているといことです。実際、普段生活していて刑法に記されている規定を知らなくても困らないということもあり、刑法に定められた刑罰法規をきちんと把握している人は少ないと思います。知らなかったでは済まされない問題でもありますし、きちんと知識を普及させていく必要があるのです。

もうひとつの問題は、法律を制定するプロセスが、本当に民主的とはいえない状況になっている点です。そのため法律制定のプロセスがキチンと民主的に運用されることも今後の課題なのです。