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刑法の持つ機能

刑法の「機能」という言葉には2通りの意味が存在しています。1つ目が、刑法が事実上持っている作用、つまり働きの意味になります。「刑務所帰り」という表現はヤクザなどの一部を除くと社会的にマイナスの評価となることが多いです。しかし事実上の作用という点で考えてみると、このマイナス評価を受けるということ自体が刑法の事実上の機能の1つなのです。

そして2つ目が、刑法が果たすべき作用です。刑法という法律にどういったことを期待しているのか、刑法の持つ役割や目的などを意味しています。従来刑法の持つ機能として、法益保護機能と保障機能、規制機能の3つが挙げられていました。

ます法益保護機能ですが、これは文字通り法益を保護する機能が刑法にはあるというものです。法益というのは、法の保護に値する利益のことを指しています。つまり刑法は、法益を侵害あるいは、危険にする行為を犯罪として処分することで法益の侵害を防止して、法益の保護を図る機能を持っているということです。法益には個人の法益はもちろんですが、合わせて国家や社会の法益も存在します。国家や社会の法益が最終的に国民個人個人へ還元される、あるいは構成員である個人の法益の集合と解されるものであれば、刑法の機能と考えることができます。

続いて保障機能ですが、これは人権保障を行う機能ということを意味しています。刑罰は憲法の13条や29条によって保障されている生命や自由、財産といったものを奪うものになります。そのため刑罰権が恣意的に行使されるようなことがあると、憲法によって保障されている市民の人権が不当に侵害されてしまうことになります。

人間の尊厳や自由、生存については、犯罪からだけでなく、不当な刑罰からも保護されなければならないのです。つまり、刑法が刑罰権の発動を規整していくことで、刑罰による市民への不当な人権侵害を保護することが刑法の保障機能なのです。刑法の保障機能はこれだけでなく、市民が不当に犯罪者とされないようにし、犯罪者についても不当に重い刑罰を科されないようにするための機能も併せ持っています。

そして、規制機能ですが、人々の行動を規制する機能という意味です。刑法は、一定の行為を犯罪として、否定的な評価を前もって示し、示されている行為をすることを禁止しているわけです。つまり、刑法に犯罪行為を規定することで、市民の行動を規制しコントロールしているといえます。これが刑法の持つ規制機能です。この規制機能ですが、市民の行動を規制することで、法益を保護する機能を果たしているので、そういった意味で規制機能は法益保護機能の一部であるともいえます。

最後にもう一つ、社会倫理維持機能を言う考え方も存在しています。刑法によって殺人罪を設けるということは、同時に「殺人をしてはならない」という社会倫理を維持・強化する効果をもっています。

刑法は一定の価値基準に基づいて、ある行為を犯罪とするものであるので、刑法によってその価値観を承認したり維持したり強化する効果があります。そのため刑法の持つ機能として、3つ以外にこの社会倫理維持機能があるといわれているのです。ただし、これはあくまで刑法の持っている保護機能から来た副次的効果であるとして、刑法の本来持つ機能や役割ではないという否定的な見解もあります。