刑罰適正原則
適正な刑罰の原則とは、刑罰適正原則とも呼ばれる原則で、犯罪の行為者を処罰することが許されるような場合であったとしても、その刑罰は適正なものでなければならないという原則です。
近代以前の社会では、いわゆる見せしめや凝らし目を目的として必要以上に過酷な刑罰を科すことも少なくありませんでした。窃盗など比較的に軽微な犯罪であったとしても死刑が多用され、それが重い犯罪であれば、その刑は、磔刑やさらし首、石打などの同じしけであってもより残酷な執行方法が用いられていました。日本でも決して例外ではなく「十両盗めば首が飛ぶ」という言葉があるように死刑が多用されていました。残酷な執行方法としては、釜ゆで、獄門、鋸引きなどの執行方法が用いられていました。
近代では、「人間の尊厳」という観念が生まれてきます。この観念から刑に執行にも人道的な思想が定着し、たとえ犯罪者に対する刑罰であったとしても人間の尊厳を踏みにじるあるいは人道に反すると感じられるような行為は刑罰の体系から排除されていったのです。その結果、現在のように懲役や禁固などの自由刑が刑罰の中心になりました。
現在では、死刑を廃止する国も増加しています。2008年では、死刑廃止国が135カ国、残している国が62カ国となっています。かりに執行する場合であっても、なるべく苦痛の少ないとみられる、絞首、銃殺、電気殺などといった方法に限定されています。1989年には国連においても「死刑廃止条約」が採択されており、2007年には死刑執行停止を求める決議が行われています。現在先進国と呼ばれる国々において死刑が残っているのはアメリカと日本だけとなっています。ちなみにアメリカは州によっては廃止しているところもあります。
現在刑罰の中心となっている禁固や懲役といった自由刑ですが、その自由刑自体も人道化の流れにあります。心身に苦痛を与えるために行う重労働や無意味な労働を課したり、不衛生な場所での生活、不健康な取り扱いをすることなどが人権侵害であると考えらえるようになってきています。今の刑罰では、犯罪者を苦しめるためのものではなく、改善更生と社会復帰を目指すべきものであると考えられるようになっています。