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罪刑法定主義と並ぶ原則
実体的適正の原則というのは、罪刑法定主義と並んで、刑法に関する憲法原則となっています。実体的デュープロセスの原則と呼ばれることもあり、憲法31条の法定手続きの保障のなかにこの原則が含まれていると考えられています。
実体的適正の原則というのは、「刑罰法規は実体的内容が適正でなければならず、実体的内容が適正でない刑罰法規は違憲・無効とされる」という原則です。少し回りくどい言い方に聞こえるかと思いますが、まず罪刑法定主義がどのような原則だったかを少し確認します。罪刑法定主義というのは、犯罪と刑罰をあらかじめ法律で定めることを要求した憲法上の原則です。
しかし、これだけですと、法律として定めてしまえば何を犯罪とすることも自由なのかという疑問が浮かび上がってきます。実体的適正の原則というのは、規制内容に注目した原則で、規制内容も実質的に適正なものでなければならないという原則なのです。つまり、刑罰法規として定めがあったとしても、処罰の対象とするのが適正でないものを犯罪としたり、刑罰として適正でないものを刑罰として科すと定めた刑罰法規は無効であるという考え方です。
この実体的適正の原則の淵源は、1789年のフランス人権宣言にあるといわれています。人権宣言の8条では「法律は、厳格かつ明白に必要不可欠な刑罰しか規定してはならない」と定めを置いています。刑罰法規の内容が必要不可欠でなければならず、それ以上不必要な刑罰を行ってはいけないという規定をしたものであり、刑罰法規の実体的内容の法的限界を前提としていることから、実体的適正の原則の淵源とされているのです。
日本の実体的適正の原則については、アメリカで用いられている「実体的デュープロセス理論」に由来しています。この理論は、合衆国憲法修正14条に定めたデュープロセス条項には、法律の実体的内容の合理性を要求しているとする理論です。日本国憲法31条は、アメリカ合衆国の合衆国憲法修正14条を母法としているという背景から、この理論も日本に導入され定着するまでに至ったのです。
ちなみに、この理論の根拠としては、1)憲法31条が、合衆国憲法修正14条に由来しており、14条では実体的適正の原則を要求していると考えられる点、2)罪刑法定主義だけでは、法律さえ作ればどのような行為も処分対象となりえるため、人権保障にかけている点、3)適正でない刑罰法規は人権の制限として違憲であるという3つが考えられています。